創業者Story①ものづくりと感性

salad dressing

今週は、JDR代表の私自身の経験と感性との関わりについてお話します。

商品開発者としてキャリアをスタート

私のキャリアは、大学卒業後に新卒として日本の食品会社の開発室に配属になったことから始まりました。就職したときは、特に「消費者のために新商品を開発しよう!」と、いう意欲があった訳ではなく、大学の研究室の先輩がいたので、大学の研究が活かせる仕事ができればと思っていたレベルでした。

「実験データシンドローム」

したがって、開発した新規食品(粉末ドレッシングだったのですが)の試作品も、最初は試作品の物性データを集めて評価。そして、試作品は、人に試食してもらって評価。ところが、人によって言うことがバラバラ。試作→微生物検査・物性評価→試食評価→試作→の繰り返し。味や風味など、ひとが感じることは主観にすぎない、と思っていました。

気づき – 自分の感覚を磨く+ユーザー評価の解読

仕事だし、と半分嫌気しながら色々試行錯誤を繰り返す中、あるとき、ふと「なぜユーザー評価がバラバラなのだろう?」と、疑問に思いました。そこで気を取り直し、評価がバラバラだった試作品を自分で食してアンケートを見直すと、自分と同じように旨味を感じている。でも、人によって好みが違うことに気が付きました。もう一つ気が付いたのは、比較した市販品(液体ドレッシング)の評価は、すべて「ドレッシングらしい味」という評価だったのです。

試作品の目標:ユーザー経験の中での最適な状態

そこで、試作品だけを評価していたのを、「サラダに液体ドレッシングをかけたときと、まったく同じ舌触りと食感になる」ように試作品目標を変更し、今度は試作品をサラダにかけて、自分の舌を頼りに試作品作りをしました。そして、ユーザー試食テストをしたところ、ついに試作品は市販品とまったく変わらない試食評価の結果となりました。

結論から言えば、このプロジェクトは失敗に終わったのですが、社会人1年目から商品開発のプロセスの中のあらゆる失敗を経験し、様々なことを学んだ貴重な経験だったと、後になって思うようになりました。当時の別の失敗談は、来月のテーマでお話します。

消費者リサーチと物性データのギャップ←官能評価で橋渡し

その後、米系消費財メーカーに転職し、製品開発部門でヘアケア・スキンケア製品のプロセス開発(実験室の試作品を工場生産へスケールアップ)業務に携わることになりました。そのとき、アジア諸国向けのスキンケア製品の処方を調整していたのですが、別の難題にぶつかりました。つまり、消費者インタビューやアンケート調査データは豊富にあるものの、具体的にどのように処方を改善したら良いのか、頭を悩ますことが多かったのです。たとえば、しっとり感。しっとり感は水分計で測る肌の水分量と全く同じではありません。ましてや、海外の消費者向け製品を自分の感覚を頼りに改善するのは難しい、どうしようかと考えていました。

Importance of sensory

そこで、食品の商品開発をしているときの味覚評価、つまり官能評価を思い出して上長にスキンケア製品の官能評価を行うことを提案。最初は聞き流されていましたが、説得し続けること約半年。アメリカ人の上長も、米国では食品開発の経験者だったので、ついにGOサイン。彼女のアドバイスと消費者アンケートをもとに試験的に官能評価をスタートしました。ここが、私のリサーチキャリアの出発点です。

感性というセンサー

これ以降、商品開発者に戻ることなく、官能評価からプロダクトリサーチ、そしてマーケティングリサーチへと、リサーチ分野の中を渡り歩いてきました。その中で感じてきたのが、ユーザー感性を理解できることが大事、でもリサーチャーや商品開発のデザイナーの感性センサーも常に研ぎ澄ましておく必要があることです。これは、新人社会人時代からの私の失敗から学んだ教訓です。

次回は、官能評価やその他リサーチで感じた米国人・日本人消費者の感性についてお話します。