前回のブログは、市場規模のとらえ方として、TAM、SAM、SOMの定義を取り上げました。今回は、それぞれについてどのようにデータを集めていけばよいかについて、お話をします。
Total Available Market: 提供する商品・サービスの需要がある市場の規模 |
Servicable Available Market: 需要がる市場の中で、特にターゲットとしているセグメントの市場規模 |
Servicable Obtainable Market: 市場セグメントの中で、自社が獲得(占有)できると想定される市場規模 |
トップダウンの方法とボトムアップの方法
市場規模を調べるときには、トップダウンとボトムアップの両方の方法がありますが、よく使われる方法は、トップダウン・ボトムアップ両方の方法を使い、整合性を確認する方法です。
トップダウン:マクロ的な視点で市場をみる方法。政府統計局、白書、該当する産業協会の出版物、市場調査会社の産業調査出版物など、すでに出版されている調査データを活用したり、産業調査専門の会社に依頼する方法。TAMとSAMの算出に用いられます。
ボトムアップ:ミクロ的な視点、つまり商品やサービスを購入すると見込まれる顧客を起点として市場規模を計算する方法。アンケート調査やインタビュー等、見込客から直接フィードバックを得て、算出します。
例えば、社会人向けのオンラインビジネス英会話教室の場合、オンラインビジネス英会話教室のニーズがある社会人のうち、何%の人が自社の◯円のサービスをどれくらいの頻度で利用したいかを調べ、年間売上を計算することができます。もちろん、実際の市場では、ターゲットとなる見込客が、まず自社商品・サービスに気がつかなければいけませんし、サービスの利用には、オンラインサービスの場合は通信状態の影響もあるかもしれません。
♣注意点♣
1. トップダウンでデータを調べる場合
- 新しいデータ・情報かどうか:政府統計局や白書のデータとは言え、調査の時期(古すぎないか、季節の影響がある商品は調査月)、調査対象者も確認しておく必要があります。
- 調査方法、条件、カテゴリーの確認:産業調査データを活用する場合は、調査の対象者、調査会社によってカテゴリーの定義が多少違ったりする場合がありますので、カテゴリー定義を確認したり、複数社の調査レポートに目を通すことをお勧めします。ウェブサイトに調査レポートだけでなく、調査表も掲載されている場合がありますので、目を通すことをお勧めします。
2. ボトムアップで市場規模を調べる場合
調査協力者(対象者)の数が少ないとデータの精度が低くなりますので、アンケート調査等で定量調査を行うことをお勧めします。アンケート調査は、厳密には100名以上(理想的には300名以上)からの回答があれば、一応しっかりした定量データと見なされますが、いくつか注意点があります。
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揺らぎやすい条件で調査対象者をリクルートをしていないか
よくあるケースとして、「〇〇が好きな人」という漠然とした条件で調査対象者をリクルートし、アンケート結果を集計する場合があります。好き嫌いは、人によって意味合いが異なる場合がありますので、調査の対象者のリクルートするために使うのではなく、実際のアンケート調査の中で使う方が、より有用な情報が得られます。
- いきなり大規模アンケート調査をしていないか:調査票の作り方によっては、誘導する質問や、重要な質問の取りこぼし、偏った質問ばかりになるケースもあります。いきなり100名以上の大規模アンケート調査を行うよりも、助走として少人数によるパイロット版調査等を行うことをお勧めします。
アンケート調査の仕方については、後日にブログで取り上げます。