官能評価 の準備とAIの活用

Preparation for Sensory Testing

ユーザーインタビューやアンケート調査では、生成AI(Artificial Intelligence)が広く活用されるようになりました。例えば、プロンプトを入力すれば、生成AIがインタビューガイドをすぐに作成してくれます。アンケート調査でも、プロンプトを入力すれば、すぐにアンケートシートを作成してくれます。

しかしながら、ゼロから官能評価を企画し、評価を行う場合には、いきなり生成AIを使って評価シートを作るわけにはいきません。この記事では、生成AIを使うか否かに関わらず、一般的な官能評価の準備を行うステップをご紹介します。なお、ステップ2、3、4は、順番を入れ替えることもあります。

官能評価の準備を行うステップ

ステップ1】官能評価の目的を決める。生成AIのプロンプトでも明確にする必要がありますが、どのような目的で官能評価を行うかを決めます。

ステップ2】評価者を選ぶ。評価者は一般消費者でしょうか、或いは訓練を受けた評価者でしょうか。消費者の感覚値でテスト品を評価したい場合は消費者による官能評価、人間の知覚によるテスト品の評価は訓練を受けた評価者による評価を行います。

【ステップ3】官能評価手法を選ぶ。官能評価方法は、識別法(3点比較法等)や記述分析法等様々な方法がありますので、もっとも目的にあった手法を選びます。また、テスト品同士の比較評価とするのか、或いは各テスト品を個別に評価する絶対評価とするのかを決めます。

ステップ4】評価したい項目とスケールを選ぶ。評価項目を選び、評価スケール(5点法、7点法等)を決め、評価シートを作成します。

ステップ5】評価シートの検証。評価者が評価シートを使ってテスト品を評価できるかどうかを確認します。評価項目の追加や変更等、変更点が見つかれば修正します。このステップは、パイロットテストとして位置づけることもできます。

AIが活用できる官能評価の業務とは

AIを活用して官能評価を行う試みも多いのですが、最も効率よくAIを官能評価に活用できるステージは、パイロットテストで官能評価の方向性や評価方法を固めた後と言って良いと思います。例えば、一つのカテゴリーの製品の官能評価方法と評価項目とスケールが決まった後、AIにその情報を読み込ませ、応用として他のカテゴリーの評価方法のバリエーションや評価項目を作成するというものです。また、データ分析や結果の分析においてもAIを活用することで、分析時間を短縮するすることができます。

AIは様々な分野に活用できるようになりましたが、実施する官能評価の方向づけも含め、人間が官能評価のフレームワークづくりに関わる必要があると思います。AIと二人三脚で効率良く業務を進めながらも、人間が人間の感性を理解する力は磨いていきたいものです。

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