さて、商品やサービスについて、顧客調査をすると決めたとき、真っ先に頭に浮かぶのがアンケート調査とインタビュー調査かもしれません。
アンケートやインタビューは情報収集の手段の一部
世界最大のマーケティングリサーチ団体であるESOMARがハンドブックとして出版したMARKET RESEARCH HANDBOOK 5th Editionによれば、アンケートやインタビューは情報収集の手段の一部であり、ほかにも情報収集の手段があると記しています。
調査の流れ
調査をする際に、「何が既にわかっていることか。」、「何がまだわからないか。」をまず、整理する必要があります。その手段として、プライマリー調査とセカンダリー調査をうまく活用することで、調査の時間と労力を省いてくれます。
- プライマリー調査:一次情報を集める調査。ある目的のために調査を企画して情報を収集する方法(例:アンケート調査、インタビュー、観察調査等)
- セカンダリー調査:他の目的で調査した既存情報を2次利用するために行う調査。別名、デスクリサーチ(例:白書、官公庁の統計データ、市販の市場報告書、社内の過去の市場調査データ等)
インタビュー調査とアンケート調査の特徴
次に、プライマリー調査の中でも、顧客の声を集めるのによく使われるアンケート調査とインタビュー調査の特徴について、それぞれ簡単に取り上げていきます。
インタビュー調査 | アンケート調査 | |
定義 | 「会話」を通じて情報を集める | 「質問紙」を通じて情報を集める |
いつ? | 内容(コンテンツ)情報が欲しいときや、ミクロ的に深く掘り下げた情報が欲しいとき | 数値情報が欲しいときや、マクロ的に情報が欲しいとき |
特徴 | 双方向(聞く側と聞かれる側) | 一方向(聞く側から) |
態度や表情など、言語以外の情報も得られる | 回答者の顔が見えない | |
柔軟→必要に応じて深掘り情報が得られる | 質問紙上の質問のみ→ 質問紙にないことは聞けない | |
聞く側(インタビュアー)のコミュニケーションスタイルの影響あり | 同じ質問を同じ形で、聞くことができる | |
インタビューと分析に時間がかかる | 早く、大多数の人から情報が回収できる | |
手法例 | 訪問調査、個別インタビュー、グループインタビュー(フォーカスグループ)、電話インタビューなど | ホームユーステスト、CLT(会場調査)、U&A(使用実態調査)、意識調査、コンセプトテストなど |
以上、アンケート調査とインタビュー調査は、それぞれ違った特徴があります。この特徴の違いを利用して、アンケートとインタビューを相互補完的に活用する方法があります。
- 例:インタビュー調査→大規模アンケート調査:アンケートによる量的調査の前に、インタビュー調査を行い、数値情報が欲しい内容を絞り込む
- 例:大規模アンケート調査→インタビュー調査:アンケートによる量的調査の参加者の中からさらに詳しく話を聞きたい対象者にインタビュー
!インタビューとアンケート調査に共通する注意点!
インタビューとアンケートは、どちらも対象者の言語を中心に情報を収集するということで、共通する注意点があります。すなわち、回答者の記憶違いや、答えたくないから回答をごまかしたり、質問を誤解して回答する等、事実とは異なる回答が挙がってくる場合があるのです。
対策として、対象者の言語だけを取り上げるのではなく、回答がつじつまが合うかどうか、そしてインタビュー調査では、表情等の非言語からも対象者の意図を汲み取る必要があります。
インタビュー調査とアンケート調査のコツについては、今後それぞれ取り上げていく予定です。
次週のブログでは、顧客調査と関連して出てくることば:ペルソナ、コンテクスト(コンテキスト)、パーソナライゼーション、カスタマージャーニーについてお話します。