商品やサービスを発売する前に、購入して欲しいお客さまから意見を聞くことは、より良い商品やサービスを販売することに役に立ちます。また、発売後に商品やサービスを利用したお客さまから意見を聞くことで、商品やサービスの改善につながります。ただ、お客さまから意見を聞くことは、簡単ではありませんし、準備が必要です。
今回は、顧客調査の準備のポイント、そして顧客調査の注意点について説明します。
準備のポイント ①: 顧客調査の情報ユーザビリティ – 活用しやすい情報に
顧客調査を行う最初のステップとして、収集・分析した情報が活用できるように企画設計する必要があります。そのためには、以下3つのポイントを決めておくことをお勧めします。
- 情報を何に活用するのか:顧客調査は、アイデア検証から商品発売の判断など、様々な用途に活用されます。そして、活用方法によって調査設計が変わってきます。
- 例1:アイデア検証として、可能性等を探るための質的調査(デプスインタビュー等)
- 例2:商品発売前(上市前)のGO/Not GOの判断材料として、量的(定量)ホームユース調査
- 誰に情報を共有するのか:調査のアウトプットは、誰に情報を共有するかによっても変わってきます。例えば、以下のようなケースがあります。
- 例A:顧客の声をチームメンバーや関係部署に共有したい場合⇒顧客インタビューの内容をビデオとしてチームに共有
- 例B:顧客調査データを経営層のプレゼンテーションに利用したい場合⇒大規模の顧客調査データを集めて分析し、経営層の意思決定の説得材料とする
- いつまでに情報が必要か:「今すぐ顧客のフィードバックがほしい。」と、思っても、少なくとも調査対象者のリクルートとアンケートやインタビュー等での調査には時間がかかります。早めに準備をするに越したことはありませんが、時間がない場合は、期限までにどのような調査方法が可能か、という点も考慮に入れる必要があります。
つまり、顧客調査の準備の段階で、情報の活用方法、誰に共有するかを想定し、「いつまでに」を決めておけば、「しまった!情報が活用できない!」と、いった問題を減らす効果があります。
準備のポイント②:顧客の立場に立った調査方法の設計
次に大切なポイントは、顧客調査も顧客の立場に立って設計することです。
- 顧客がよく使うコミュニケーションの方法を活用:調査する側としては、手っ取り早く情報を集めたいと思ってしまいがちですが、商品やサービスのターゲット顧客が頻繁に利用するコミュニケーション方法(例えば、パソコンやスマホを使わない高齢者には、対面インタビュー等)を利用することで、ターゲット顧客からの回答も集まりやすいメリットがあります。
- 顧客が答えやすい形式かどうかを事前チェック:アンケートの作成やインタビューの流れも、情報を取りたい一心で、無意識に「聞く側」の視点のみで実施しがちです。そこで、事前にアンケートは作成者とは別の人が答えやすさをチェックすることをお勧めします。また、インタビューも、初めて行う場合は、ロールプレイなどを実施して、話しやすさをチェックしてみると良いでしょう。
!注意点 – ありがちなこと!
- 顧客情報を収集してから、活用方法を考える – まったく初めて顧客調査を行うときに、ありがちなことです。この場合、情報収集で満足してしまい、情報を活用した次のステップに移れなかったり、情報の取りこぼしが起こることがよく見られます。
<対策>大まかなものでも構わないので、顧客情報を収集した後は、情報をどのような活動に利用するのかを想定しましょう。少なくとも、情報の取りこぼしの問題は減ると思います。
- とにかく、数を集める – 調査の協力者(対象者)を集めるのが難しい場合、当初のターゲットから離れても、とにかくたくさんの人から顧客情報を集めることを最優先とするケースがあります。
<対策>集まったデータと調査対象者のプロファイル(年齢、性別、職業等)を突き合わせて、商品やサービスを提供するターゲットグループを定義できるかどうかを確認します。また、今後の参考として、調査の協力者(対象者)を集めるのが難しかった理由も振り返っておくとよいでしょう。
- 一回の顧客調査で、できるだけたくさんの情報を取ろうとする – ときどき見かけるのが、聞きたい質問が満載で、アンケートの質問が盛りだくさんになることです。しかし、あまりにも質問数が多いと、アンケートに答える側も疲れて答えたくなくなり、回答をやめたり、適当に回答してしまう問題が起こります。
<対策>調査設計の段階で、回答者が答えやすい数まで質問数を絞ることと、知りたいことがたくさんある場合は、顧客調査を複数に分けて実施することをお勧めします。
以上の内容を読んで、「顧客調査は大変だ。」と感じる人がいるかもしれません。しかしながら、お客さまの声を聞かずに商品やサービスを作っていると、顧客に響かないものが出来上がってしまいます。ぜひ、顧客調査を商品やサービス作りのプロセスに組み込んでください。
次回は、顧客調査の方法:アンケート調査?インタビュー調査?それとも?について、取り上げます。