コンテクストと顧客調査

Setting Frame for customer research by Japan Direct Research

まだまだ紫外線が強いこの夏ですが、夜寝るときに冷房をつけたままでいると、肌の乾燥が気になりますね。このような季節、スキンケアとして昼の外出時には紫外線対策と書かれているクリーム、夜寝る前には、冷房による肌の乾燥対策として、保湿効果と書かれている乳液を使うかと思います。

コンテクスト(コンテキスト)とは

さて、今回のブログのテーマの「Context: コンテクスト(コンテキスト)」ですが、辞書によると「文脈、文章の前後関係、背景や状況」という意味が挙げられています。英語では、”In the context of ○○” (○○という観点で、または○○という状況で)といった使い方をします。いわゆるフレームと考えても良いでしょう。

顧客調査の環境設定としてのコンテクスト

冒頭にスキンケアクリームのことを取り上げましたが、同じスキンケアクリームでも、商品が伝える特徴によって、使用する状況や用途が変わってきます。仮に何も伝えないスキンケアクリームとすると、使う人の解釈によって、使い方が全く違うこともあります。

例えば、UVケアのスキンクリームの場合、日中の紫外線対策という設定をすることで、ユーザーも外出時の紫外線が気になるときに商品を使い、その商品が自分にとって良いかどうかを判断するでしょう。もし、顧客調査で何も伝えずにスキンクリームを対象者に渡した場合、今までの記憶に残るスキンクリームと比較して答えることが起こってしまいます。

カスタマージャーニーとコンテクスト(コンテキスト)

コンテクストとは別に、カスタマージャーニー(Customer Journey)という言葉があります。日本語に直訳すると顧客の旅路となりますが、カスタマージャーニーは、実はコンテクストと密接な関係があります。つまり、コンテクストを舞台やシーンとすると、カスタマージャーニーは、そのシーンで展開する「顧客がどのように商品またはサービスと出会い、購入し、そして商品またはサービスを使う経験の軌跡」としてとらえると、わかりやすいかもしれません。

コンテクストの設定

コンテクストには、色々な「枠の取り方」があります。例えば、スキンケア商品の場合、「エイジングケアの商品ライン」というコンテクストもありますし、「日中のスポーツ活動に」という切り口もあります。つまり、コンテクストは、調査の目的によって広く設定することもできますし、狭く具体的に設定することもできます

プロトタイプ(試作品)や発売前の商品やサービスの顧客調査のまえに

まず第一ステップとして、ペルソナ作りの顧客インタビュー等で、顧客経験を理解し、その情報をもとにコンテクストを設定することをお勧めします。以下、筆者の経験を踏まえて、顧客調査で使うコンテクストの作成ポイントをお伝えします。

  • コンテクストは、ターゲット顧客の経験と親和性があるものかどうか
  • コンテクストは、提供する商品またはサービスと関係する内容かどうか
  • コンテクストは、現実的なものかどうか

コンセプトvs. コンテクスト

最後に、コンセプトとコンテクストの違いについて、触れておきます。コンセプトは、「商品またはサービスはこのようなもの」と商品やサービスの概要とメリット等を示します。通常、顧客調査でのコンセプトは、コンセプトシート等で提示するのですが、コンテクストはもう少し一般的なもので、商品またはサービスが提供される状況や使用シーンなどを手短に提示しています。

コンセプトとコンテクストは別物ではなく、Concept in the context of ○○(○○という状況でのコンセプト)というように、コンテクストを踏まえたコンセプトを提示することで、より顧客経験に響くコンセプトになると思います。ぜひ、コンテクストにも注意を払ってみてください。

次の週は、アンケート調査について、取り上げていきます

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