製品デザインとセンサリー評価(官能評価)

Textile design

3月のブログ記事では、センサリー評価(官能評価)が、コミュニケーションやマーケティングに活用されているという内容と取り上げました。今回は、デザインとセンサリー評価について取り上げていきます。

進化しているデザインの定義

デザインのとらえ方は実は様々だと言えます。デザインの定義を調べてみると、デザイン=意匠という答えもありますし、デザイン=図案、デザイン=設計という答えもあります。最近では、デザイン思考やサービスデザインという言葉がよく使われるように、デザインの定義は、色彩や形状といった外観を指すだけではなく、全体的・総体的に創作・創造されたものを指すことが多く見受けられます。そして、デザインの定義は固定しているものではなく、時代と共に進化をしていると感じます。

複数の感覚に響くものがより重要に

全体的・総体的なデザインは、視覚だけではなく、聴覚(音や音楽)、嗅覚(匂い)、触覚(テクスチャー)、味覚(味)など、人の複数の感覚に響きます。例えば、レザーチェアは、見た目から高級感を感じることができますが、触ったときの素材感や革のにおいからも見た目同様に高級感を感じとることができます。

また、人の複数の感覚に響くものは人の記憶に残りやすい傾向にあります。一般に90%の情報は視覚から入ると言われています。一方で、人の記憶に残る情報は、目からの情報以外に音、感触、匂いなど、他の感覚へ刺激が加わることにより、記憶に止まりやすいという海外の研究があります。確かに、昔使ったことのある石鹸は匂いで思い出すことがあります。また、昔懐かしい郷土料理や菓子も風味や味で鮮明に思い出すこともあります。

センサリー評価の進化

センサリー評価も進化してきています。従来は、数値で評価する定量的センサリー評価が中心で、そのデータは食品や化粧品などの製品の処方設計に用いられていました。しかしながら、最近ではセンサリーデザイン、センサリーエキスペリエンスというように、顧客経験の理解や顧客調査として、定性的に(インタビューなど)センサリーリサーチを行うケースも増えてきています。海外では、センサリー・ジャーニーやセンサリー・エキスペリエンスという言葉も使われています。

私たちが自分自身の感覚で感じていることを事細かく見てみると、何か面白い発見があるかもしれません。

Scroll to Top