従業員モニター:顧客フィードバックは従業員から

Employee Panel

顧客といえば、「離れた存在」として、とらえがちかもしれませんが、身近の従業員も重要な顧客です。

実際、福利厚生サービスとして、従業員向けの社内販売割引等の制度を持つ会社も多いと思います。また、消費者向けの商品やサービスを取り扱う企業では、消費者調査を行う前に従業員をモニター(パネル)として商品やサービスのチェックを行う企業もあります。しかし、従業員モニター(パネル)の話はあまり表に出てきません。

今回は、この従業員モニター(パネル)について、目的、メリット、注意すべき点についてお話し、最後にモニター構築の秘訣をいくつか挙げていきます。

従業員モニター(パネル)とは

文字通り、従業員をモニターとして商品やサービスのフィードバックを得る方法です。しくみは、企業によって様々ですが、従業員だけに限定する場合と、従業員とその家族を対象とする場合もありますし、特定の部門(たとえば、商品開発部門の従業員のみ)を対象とする場合もあります。

従業員モニター(パネル)の目的

従業員で自社製品のモニター(パネル)調査を行う目的は、主に消費者調査等、顧客からのフィードバックを聞く前に、自社商品・サービスを事前チェックすることなどです。

メリット

  1. 早い、安い:一番の従業員モニターのメリットは、早く安く商品やサービスのチェックを行うことができることです。社内ですぐ意見を聞くことができますし、通常は自前でリクルートから調査・分析まで行う場合は、コストを低く抑えられるメリットがあります。
  2. トップシークレットの商品やサービスの初期チェックができる:特に開発初期段階の商品やサービスの場合、機密保持のサイン(秘密を漏らしません、という一筆)をもらうとしても、なかなか外部の人にプロトタイプのフィードバックをもらいづらいものです。また、形になりきっていないプロトタイプも、身近な従業員からのフィードバックで早く形にしていくメリットがあります。
  3. 従業員の顧客視点を養える:商品やサービスを提供する事業会社の場合、どうしても提供する側の視点で何でも見てしまいがちですが、実際に商品やサービスを利用してみると、逆に商品やサービスを受ける側での視点も持つことができるようになります。

注意すべき点

とは言え、従業員モニター(パネル)にもいくつか注意点があります。

  • 従業員のフィードバック≠顧客のフィードバック:よくある勘違いが、時間と費用の節約のために顧客調査の代わりとして、従業員モニター(パネル)を使うとするケースです。特に、商品やサービスを購入したいかなどは、ターゲット顧客に聞かなければ、ちゃんとしたフィードバックは得られません。
    従業員モニターと顧客調査の住み分け:すべての調査を従業員モニターで賄うのではなく、プロトタイプ作りの初期段階は、従業員、ある程度形になってきた時点からは顧客調査等、従業員モニターと顧客調査をすみ分けて活用することをお勧めします。
  • モニター(パネル)調査の設計と質:従業員モニター(パネル)調査は、身近で手軽に行えるということで、人数も一人だけだったり、聞く質問も思いつき、というケースがあります。そのような場合は、後に聞いた顧客の意見と違っていたり、従業員のフィードバックも無駄に終わってしまうことがあります。
    従業員モニターにも企画設計:プロトタイプ初期の従業員フィードバックは、後々のプロトタイプの方向性を決める上でも大切なので、いきなり調査よりも、従業員モニター5人以上、質問リスト作成等、準備をしておくことをお勧めします。
  • 従業員の業務とのバランス:従業員モニター(パネル)参加は、通常の業務以外の時間が取られるものです。このことで、調査協力率が下がったり、通常の業務に支障が起こるケースもあります。
    従業員が調査に参加できる配慮:職場全体の理解はもちろん大事ですが、就業時間後や昼休み等の就業時間外に実施したり、参加者の通常業務に支障がない形で行う等の工夫も大切でしょう。

また、海外の事業所の場合、倫理規程や人事労務管理上等の問題で従業員モニター調査を行うことができない場合がありますので、注意が必要です。

従業員モニター構築の秘訣

最後に、従業員モニター(パネル)の構築の秘訣を5つ挙げておきます。

  • 小さく始めて、全員参画へ最初は、手探りの部分が出てくると思いますので、小さく始め、軌道に乗れば、全社的に皆で良い商品やサービス作りに参画できる形がベストです。
  • 経営層、部門長の支援:従業員モニターを全社的に拡大するためには、経営層や部門長の理解と支援を取り付けることが大切です。
  • 制度としての整備:人事部門を巻き込み、通常業務に負担がかからない運営方法(調査を行う時間帯や依頼方法など)を定めることは大切です。
  • フォローアップが参加者への動機付けに:モニター調査の結果が何に、どのように活用されたか、というフォローアップ情報は、次のモニター調査参加の動機付けになります。
  • 運営に手順書を:運営時には、細かなことで時間が取られるので、従業員モニター(パネル)の手順書を作っておくと良いでしょう。

弊社では、従業員モニター調査に関するサポートも行っていますので、ご相談やご質問がありましたら、ご連絡ください。

次回は、ダイバーシティとコミュニケーションについてお話します。