顧客調査にまつわる誤解と顧客調査の意義

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今月は、顧客調査について色々取り上げてきましたが、最後に顧客調査まつわる誤解と顧客調査の意義についてお話します。

顧客調査にまつわる誤解4選

顧客を理解することは大切、と言われつつもも顧客調査については、いくつか誤解もあります。以下、顧客調査にまつわる誤解と顧客調査の意義について、いくつか挙げてみました。

◊誤解その1 – マーケティングリサーチ不要という考え

有名なスティーブ・ジョブズの言葉に次のようなものがあります。“We do no market research. (中略) We want to make great products.(自分たちはマーケットリサーチをしない。自分たちは、素晴らしい製品を作りたいのだから。)”この話を昨年のESOMAR(グローバルリサーチ協会)のカンファレンス会議で触れたときに、ESOMARの実行委員の一人が「と、言われてもね、僕たちAppleのためにリサーチの仕事をしたよ。」と言っていました。

⇒顧客調査の意義:顧客調査で「顧客視点」からのずれ矯正

スティーブ・ジョブズがどのような内容をマーケットリサーチと言ったのかは不明ですが、少なくとも自分たちが目指すものが顧客の役に立つものなのか、作り手側が「顧客目線」を持ち続け、「顧客目線」で自分たちの商品やサービスを見ることが大切です。顧客調査は、自分たちが顧客のことをわかっているか、確認する手段にもなりますし、提供する商品やサービスを顧客目線でチェックするのにも役に立ちます。

◊誤解その2 – 顧客に聞けば欲しいものがわかる

上記のその1とは反対に、顧客の声が大切なので、欲しいものは何かを直接顧客に聞くケースもあります。これには、有名なヘンリー・フォードの言葉があります。“If I had asked people what they wanted, they would have said faster horses.(もし、私が人に何が欲しいか聞いたら、早く走る馬が欲しい、と答えたところだったよ。)”つまり、「顧客に何が必要ですか?」と、聞いても革新的なものが出てくるわけではなく、革新的なものは、自分たちが作りだすべきだというものです。

⇒顧客調査の意義:顧客調査でアイデアチェック

では、「どのような顧客調査をすればよいか。」と、いうことですが、顧客調査では、自分たちが作り出したものが顧客の役に立つものか、買う価値のあるものかをチェックすることができます。例えば、顧客インタビューでニーズを聞いて挙がってこなくても、今までない革新的なものに対しては、「あっ、それあったらほしい!」と、いう反応が得られる場合があります。

◊誤解その3 – 発売前(上市前)の顧客調査で売れるかどうかを審判

製品を発売する前に顧客調査を行い、「購入意欲が高いという結果にも関わらず、商品が売れなかった。」あるいは逆に、「顧客調査の結果が良くなかったけれど、商品が売れた。」と、いうケースもあります。このようなことから、「上市後の売れ行きが予想できなかったから、顧客調査は当たらない!」と、いう批判を耳にすることがあります。

⇒顧客調査の意義:上市前の顧客調査をリスクアセスメントに

発売後の商品やサービスの売れ行きは、市場環境や競合品の動き等、様々な要因によって左右します。また、商品やサービスの発売後とまったく同じ状況を作って顧客調査を行うには限界もあります。しかしながら、少なくとも事前に調査を行うことで、上市後にどのようなリスクがあるかを学ぶことができます。したがって、採用する顧客調査でチェックできること・できないことを整理し、顧客調査をもとに上市後のリスクの有無や対応策を探ることをお勧めします。

◊誤解その4 – 顧客調査すべてを専門家に任せてノータッチ

最後に、時々遭遇するのが、「調査のことは、まったくわからないのでノータッチ。」というケースです。組織が大きくなり、仕事が分業化したり、海外での調査等、地理的に距離がある場合にありがちなことです。たしかに、デプスインタビュー等テクニックが必要な顧客調査はありますが、専門家あるいは担当者に任せっきりで、ノータッチなのはもったいないのではないでしょうか。

⇒顧客調査の意義:顧客調査を顧客との接点に活用

顧客に会う機会がない場合は、顧客調査を活用して、ぜひ顧客の生の声を聞くこと(もちろん、調査に影響がない形でですが、)をお勧めします。また、顧客調査の結果から、自分自身の活動の中で何ができるか等、「接点を持って情報をみる」ことによって顧客情報がビジネスに有効利用できると思います。ぜひ、顧客調査の機会を積極的に活用してみてください。

9月は、感性リサーチについて取り上げていきます。