今年からは、ブログ記事として主にリサーチのちょっとしたコツと海外の最新のリサーチのアプローチについて取り上げて行きます。
さて、以前のブログ記事で、アイデアの規模①市場規模のとらえ方とアイデアの規模 ② 市場規模の調べ方という内容を取り上げました。今回は、この記事の補足として、見過ごしがちながらも大切な市場の定義づけについてお話します。
数字で市場の大きさを見える化
数字は、内容を多くの人に、特に大きさを伝えるのにはとても便利な手段です。アイデアについても、市場規模という数字で表すことで、アイデアがどれだけ大きなものかを伝えることで、アイデア実現への支援や協力を得ることができます。
ものの大きさを測るように、市場規模を測る時も何をどのような基準でどのように測るかが大切なのですが、コップやひものように「何」がはっきりしているものではありません。人によっては、同じ言葉でも解釈が違う場合もあります。そこで、測る「市場を定義づける」ことが必要になります。
市場の「場」を定義づける
市場を定義づけるためには、取り扱う商品・サービスだけではなく、対象となる地域(例えば日本全国か、特定地域か)、流通チャネルなどを確認します。市場の定義づけをしておくことで、膨大な作業になりがちなデスクリサーチも、ポイントを絞って効率よく行うことができますし、やり直しや無駄骨となる作業も減らすことができます。
「ターゲットが今使っているもの」とデスクリサーチのひも付け
デスクリサーチでアイデアの市場規模を調べるとき、見過ごしがちなのが、インタビュー調査で得た「ターゲット顧客が今どのような商品やサービスを使っているか。」という内容とデスクリサーチで調べる情報のひも付けです。
例えば、女性のまつ毛に塗るマスカラ。まったく新しいマスカラ商品のアイデアを持っていて、マスカラ市場の情報だけを集めていると、以下のような壁にぶち当たることがあります。
ターゲット顧客が商品・サービスのカテゴリーをまたいで解決法を探している
どのようなことかと言えば、女性がマスカラ製品の代わりにアイライナーやアイシャドウを使うことがあります。つまり、ターゲットの女性にとって、マスカラは目をぱっちり大きく見せるための一つの手段で、目がぱっちりすればアイライナーでもアイシャドウでも良いわけです。
このことから、①顧客インタビューで今使っている商品やサービスを通して、本当はどのようなことを求めているかを洞察することと、②デスクリサーチでは、一つの商品やサービスカテゴリーに限定せず、顧客が今手にとっている商品やサービスの市場をチェックしておくことをおすすめします。
今までにないアイデアでも、近い商品・サービスの市場チェック
中には、まったく新しい商品・サービスなので、既存の商品・サービスのデスクリサーチをせずに、インタビュー等のターゲット顧客のリサーチのみに絞りたい、ということもあると思います。ただ、まったく新しい市場を作るとしても、作ろうとする市場が似たような隣の市場に影響されたり、隣の市場が脅威となる場合もありますので、下調べとして隣の商品・サービスは要チェックです。