ストーリーと共感

Story telling

印象深いストーリーは記憶に残りやすいものです。子供のころに読んだおとぎばなしが大人になっても記憶に残っていたり、映画やテレビドラマに感動することも多いと思います。このように、ストーリーとして情報が入ってくると、その情景が頭に浮かび、登場人物が何を考えて、なぜその行動を起こしたのか等が理解しやすくなります。

ビジネスでも内容を「ストーリー」として伝えることは、多く見られるようになりました。顧客理解のリサーチでもストーリーとして顧客経験を知る手法が取られます。今回は、ストーリーとして顧客経験を理解するアプローチのメリットと注意点についてお話します。

ストーリーを通じた顧客経験への共感

顧客がいつ・何を経験し、どのように感じたかを洞察することは、顧客の経験を理解するためにとても大切です。しかしながら、特に初めて会う人にインタビューをしても、顧客経験を共感を持って理解することは簡単ではありません。

そこで、顧客インタビューをするときに、ストーリーとして顧客自身の経験を語ってもらうアプローチがあります。ストーリーとして経験を語ってもらうことで、その時の状況と行動と気持ちなど、顧客に共感し、より顧客経験を理解することに役立つことができるわけです。

しかしながら、いきなり「あなたの経験を語ってください。」と言われ、経験を語れるものでもありませんし、話にくい内容もあるでしょう。そこで、顧客経験をストーリーとして語ってもらうためのコツをいくつか挙げてみました。

  • ラポール(話しやすい雰囲気づくり):軽い雑談等からリラックスして話しやすい雰囲気を作ります。
  • アイコンタクトとペーシング(相手にペース合わせる):視線を合わせることで話を聞いている合図を出し、相手にペースを合わせることで、聞き手の気配を消していきます。
  • 絵やレゴブロックなどの小道具の活用:例えば、「その時の経験を表す絵」を選んでもらい、絵を選んだ理由からその時の状況や気持ちを話してもらう方法です。
  • ラダリング(はしごの上り下りのように聞くことで階層構造で内容を理解するテクニック):話の向きをはしごの上位(価値観)や下位(具体的な状況)へ向けてストーリーの全体像をわかるようにガイドをします。
Laddering

注意!話を遮らない、聞きっぱなしにしない、事実とのつながりも確認

相手の方が夢中になって話をして頂けるようになるはいいのですが、ついつい話が脱線したり、時間をオーバーしたり、話が過剰に膨らんでしまう場合もあります。そのような場合は、話を遮断したりせず、聞き手として気配を消しつつも聞き流しせず(難しいですが)、方向の軌道修正を行うことが大切です。特に、ストーリーが事実とは離れた内容になっていると感じられた場合は、ラダリングのテクニックを使って、下位の情報との整合性を確認する必要があります。

注目!ストーリーを伝えている表情や雰囲気、声のトーンなど

ストーリーを聞くと言えば、伝えられている内容と言葉・表現だけに意識が行きがちですが、生の声でストーリーを聞くインタビューでは、ぜひそのときの表情や声のトーンなども重要な情報ですので、「聞く」だけではなく「見る」情報もお見逃しなく。

インタビューで顧客経験を聞くことは、慣れないうちは大変ですが、場数を踏めば慣れますし、慣れればお客さまが意図する内容も深くわかるようになります。ぜひ、顧客経験をストーリーとして語ってもらう機会を増やしてみてください。