活用目的によって変わる量的アンケート調査の設計

Customer research survey

アンケート調査は、一度に多くの顧客に量的(定量的)に調査も実施することができる便利な方法です。今回と次回の2回にわたり、ビジネスに活用する観点から、量的調査としてのアンケート調査の設計と分析のポイントについてお話します。今回は、主なアンケート調査の活用目的と調査設計のポイントについて取り上げています。

主な量的(定量)アンケート調査の活用目的

量的(定量)アンケート調査は、色々な分析のために活用されますが、以下、主な活用目的を挙げてみました。

♦グループ規模の推計
量的アンケート調査データをもとに、ターゲットグループの人数を推計します。例えば、高齢ペット犬のビジネスを始めるにあたり、日本全国でペット犬を飼っている人の中で、高齢ペット犬を飼っている飼い主の数やニーズ規模を知りたい場合などに調査を行います。

理想的には、ターゲット全員を対象とした全数調査ができればいいのですが、莫大な時間と費用がかかります。そこで、標本調査、つまり母集団を代表する対象者を無作為に抽出し、抽出した対象者に調査を行います。そして、標本調査(アンケート調査)データに拡大係数をかけて、ターゲット全体の母集団を推計します。

ポイント – 既存データから算出した拡大係数で比率補正

拡大係数は、一般的に国勢調査等の男女比や年齢構成比等の既存データを用います。拡大係数を標本調査データの男女比や年齢構成比等にかけ、アンケート調査対象者の構成比の構成比を母集団(例えば日本国全体)に合わせ、母集団としてアンケート結果を見ます。

♦セグメンテーションやターゲット顧客の量的測定

セグメンテーションやターゲットグループの特徴を数値で測りたいときに行う調査です。通常、Usage & Attitude、Habits & Practices(商品やサービスの使用習慣や行動に関する実態調査)といった手法を使い、因子分析やクラスター分析等の統計手法を用いて顧客の使用習慣・行動・意識のパターンを明らかにします。

ポイント – 統計分析に十分な対象者数と偏りなく対象者をリクルート

セグメンテーション調査を行う場合には、目安として600名以上の対象者を必要とします。あまりも対象者数が少ないと、統計分析したときにばらつきが大きく、データの信頼性が落ちてしまうからです。かといって、データの数だけが多いと良いわけでもなく、偏りなく属性や使用習慣等、ある程度の幅を持たせて対象者をリクルートする必要があります。そうすることによって、全体の中の中から切り分けたセグメントを数値で特徴づけることができます。

♦商品やサービスの発売(上市)の意思決定

開発した商品やサービスを発売する前に、顧客調査を行って商品やサービスの顧客調査を行い、商品やサービスの発売可否の意思決定をするときに行います。調査手法として、一般的にはコンセプトユーステスト(またはホームユーステスト)の手法が用いられます。この発売前(上市前)調査は、ある程度の規模で商品やサービスを発売する場合、売れないリスクの事前評価として実施されます。

コンセプトユーステスト(またはホームユーステスト):ターゲット顧客にできるだけ発売後の状況に近い状態の商品やサービス提示し、実際に使った後に購入意向とその理由等をアンケートで確認する方法。

ポイント – 意思決定の判断基準を事前に合意しておくこと

調査設計の段階から、明確な数値による判断基準(いわゆるKPI =Key Performance Indicator:評価指標)を決めておくことによって、特に発売するべきかどうか迷う場合や、結果が悪かった場合でも、速やかに次の行動に移ることができます。KPIには、色々な設定方法がありますが、商品やサービスの発売に関わる関係者が納得できるKPIを設定し、調査を始める前に事前合意しておくことと、シナリオ別の行動計画(指標以上の場合、指標未満の場合)を予め設定しておくことをお勧めします。 

 

アンケート調査は、上記以外にも人の生体反応計測値や官能評価値と合わせて消費者感性のモデリング等にも活用されています。人の感性評価は、世界的にも広がっている分野ですので、今後、感性評価についても取り上げていく予定です。

 

次回は、活用する観点から行うアンケート調査の分析ポイントについてお話します。