今月は、組織とリサーチに関するトピックを取り上げてお話します。
アイデアの実現化とチーム構成
スタートアップで成功するには、個人よりもチームが大切と言われます。例えば、ITサービス分野の起業では、ハッカー、ハスラー、デザイナーの人材が必要と言われます。
企業の新規事業や新規プロジェクトでも、プロジェクトのチーム構成は重要です。私自身の経験でも、マーケティングと製品開発など、複数の部署が早い段階から関わったプロジェクトの方がスピードが早く、実現の可能性が高いと言えます。これが、先週の「創業者Story①」の私のもう一つの失敗、つまり、ほぼ一人で担当した粉末ドレッシングプロジェクトの失敗原因です。
ものづくり系のイノベーション – 商品化に向けたキーパーソンの巻き込み
企業の新規プロジェクトの場合、商品開発部署の中で一人あるいは少人数で新規プロジェクトとして、アイデアの検証とプロトタイプ作りをスタートすることがよくあります。しかし、プロトタイプはできたものの、商品化できないという問題や、アイデア検証で顧客からチャネルの情報を取ったのに、発売後にお店に置いていないという問題も出てきます。
スケールアップ・商品化のキーパーソン:アイデアが具現化し、プロトタイプができた次のステップは商品化になりますが、ここでいくつか課題が上がってきます。つまり、量産できるか、品質は一定か、採算の合う生産コストなどです。このような課題には、量産の知識や経験を持つエンジニアの力が必要になります。つまり、ある程度プロトタイプが固まった時点で、商品化のキーパーソンをプロジェクトに巻き込むことは大切だと思います。
流通チャネルのキーパーソン:もう一つ、ものづくり系の新商品の上市の時に見過ごしてしまうのがチャネルです。流通チャネルは、顧客と商品の重要な接点ですが、新商品がお店になかったために、顧客が商品を知らなかった、買えなかった、だから商品が売れなかったというケースがあります。このようなことを防ぐためには、アイデア・プロトタイプ検証の段階で、流通チャネルが新商品販売で重要なことがわかった場合は、早い段階でキーパーソンを巻き込んで課題解決に動くことをお勧めします。
チーム構成が変わっても顧客起点でゴール共有
プロジェクトのステージがアイデアから販売準備へと進むにつれて、チームの構成が変わっていくことはよくあることです。では、ぶれずに顧客経験に価値のある商品・サービスを提供するには、どうしたらいいか、ということですが、大切な点は、チーム構成が変わっても、プロジェクトゴールを共有し、常に顧客起点に立ち返り、チームが同じ方向で活動することだと思います。
意識して顧客接点を持ち、顧客視点を植え付ける
とは言っても、チーム全員が顧客との接点を持つ業務に関わっているとは限りません。ここで私がお勧めしたいのが、新商品プロジェクトに関わるチーム全員が、顧客インタビューを直接見たり・聞いたり、お店で商品をチェックする等、顧客体験に触れることで、顧客視点の感度を高めることです。顧客リサーチ結果報告を読んだり、聞くことも大切ですが、ぜひ、商品・サービスを作り、提供する人たちが、自身の五感で顧客体験を感じ取って頂きたいと思います。
次回は、この顧客接点を持ち、顧客視点を植え付ける部分について、もう少し詳しくお話したいと思います。